今回でこのシリーズも終了です。
置き換えられそうな部分は少ないですが、かといって飛ばしたり記載しないのもちょっとなーってとこで。

「孫子の兵法×制作(web)ディレクション」の11回目です。
前回はこちら


マンガ孫子・韓非子の思想 (講談社+α文庫) (日本語) 文庫

火攻篇

火攻め


火攻めの方法には五種類ある・・・
1.士兵を火攻めにする
2.物資を焼く
3.補給部隊に火をかける
4.倉庫を焼く
5.敵陣に火を放つ

火攻めを行うには、それだけの条件を備えていなければならないし、道具類も常に準備しておくべきだ。
火攻めを行うには、時機に乗じて、決行日を決める必要がある。

時機とは、空気が乾燥し、雨が降らない時季を指す。
決行日とは、月が箕、璧、翼、軫※の四つの星座にかかる時で、この日には必ず風が吹き起こる。
※箕:射手座 璧:ペガサス座 翼:コップ座 軫:カラス座

→変換出来ないですw

 

利に合わせて動け


戦うからには勝ち、攻めるからには取れ。
国にとって有利でないなら行動するな
勝てる見込みがないから兵を動かすな。
非常事態以外は戦うな。

君主は一時の怒りで兵を動かしてはならぬ。
将もまた一時の怒りで敵と戦ってはならない。

国益に合うなら行動し、合わなければすぐに中止することだ。

怒りや恨みは、転じて喜びに変わることもある。
だが国が滅んでしまえばすべては水のアワだ。人は死んだら二度と生き返らない。

それ故、名君名将は慎重な上にも慎重を期す。
これこそ国を安定させ、軍事力を保つ根本である。

明君は、綿密に考慮した上で戦争遂行の決定を下す。
なぜなら戦争は、人の生死、国の存亡に関わるものだからだ。

→案件を請けるなら納品まで取り組み、提案するなら通せ。
自社にとって有利でないなら行動するな
納品出来なさそうなら請けるな。
非常事態以外は無理をしない。

社長は一時の感情で社員を動かしてはならぬ。
ディレクターもまた一時の指示でスタッフを振り回してはならない。

自社や自分の利益に合うなら行動し、合わなければすぐに中止することだ。

いっときの感情や達成感は、転じて喜びに変わることもある。
だが自分や自社が壊れてしまったらすべては水のアワだ。人は死んだら二度と生き返らない。

それ故、明君名将は慎重な上にも慎重を期す。
これこそ自社や自分の環境を安定させ、自身を保つ根本である。

明君は、綿密に考慮した上でチームの方針・方向性の決定を下す。
なぜなら方針・方向性は、スタッフの利益や生活、会社の存亡に関わるものだからだ。

 

用間篇

情報をつかめ


戦争をやるとなると、十万の大軍を率いて千里の道を遠征するのだから、人的損失に加えて、財政面で毎日多額の出費を強いられる。
国全体が動揺して、人馬は疲弊し、動員されて仕事ができなくなる戸数は七十万に達しよう。
戦争は数年に及びしかも結果は最後の一瞬で決まるのだ。

もし恩賞をケチってニセの情報をつかまされたり、敵情がわからずに失敗したりすれば、これほどバカげたことはない。
このような人間は軍事指導者でもないし、君主の補佐役でもない。まして勝利を左右できるわけがない。

すぐれた君主や有能な将軍が戦えば必ず勝つのは、事前に敵情をキャッチしているからである。
敵情を探るのに、神頼みなどもってのほかだし、過去の経験から推測するのもよくない
占いで判断するなど問題外だ
スパイを使って情報を収集してこそ正確な敵情をつかめるのだ。

→大きなプロジェクトを受注するとなると、多くのスタッフを動員し、長期間プロジェクトに従事するのだから、リソースは減り、他案件も請けられないなかで、従業員への給与支払いや家賃などの出費が発生する。
会社全体が動揺して、スタッフは疲弊し、スケジュールどおりに進まないタスクは多くなっていくだろう。
大きなプロジェクトは長期間に及び、下手すれば途中のちょっとしたスコープの見落としが後々に響いたりするのだ。

(受注側も発注側も)給与や手当をケチって仕様をテキトーにされたり、確認を曖昧にしたりすれば、これほどバカげたことはない。
このような人間はディレクターでもないし、プロデューサーでもない。まして、プロジェクトを円滑に操作出来るわけがない。

優秀な社長や有能なディレクターがスケジュール通りの進行や予算内での進行が可能になるのは、事前にクライアントや自社の状況を察知し、準備・対策を施しているからである。
プロジェクトの進行において、神頼みや運任せなどもってのほかだし、過去の自分の経験のみにすがるのもよくない。
占いで判断するなど問題外だ。
スパイでなくとも、クライアントの担当者、担当者以外にも話が出来る方を見つけ、自社内でも横の連携で情報共有し合うことで正確な状況が把握出来るのだ。

 

間者とは


スパイには郷間・内間・反間・死間・生間の五種類がある。
これらのスパイを敵に気づかれずに使いこなすことが出来れば国家指導者の最も大切な宝となる。
「郷間」とは:敵国の住民をスパイに仕立てること。
「内間」とは:敵国の役人をスパイに仕立てること。
「反間」とは:敵のスパイを手なずけるか買収するかして役立てること。
「死間」とは:こちらのスパイを送り込んでニセの情報を流すこと。また、死を覚悟で潜入するスパイのこと。
「生間」とは:敵情を探って生還し、本国に情報をもたらすこと。
だからスパイには最も信頼をおき、最も高い報酬を与え、その活動は絶対に秘密にしなければいけない。
才知を備えた将でなければ、スパイは使いこなせない。
仁義に厚い者でなければスパイを送りこむことはできない。
細心で、しかも巧妙な手段を用いる者でなければ、スパイのもたらした情報の真偽は見分けられない。
これは微妙なことなのだ。情報に頼らずにすむケースはないのだから。
こちらの情報収集の動きがもれた時は、スパイを情報提供者の両方を殺さなければならない。

目標を攻撃する、要地を占領する、敵将を殺す・・・こんな時、まず敵の将、幕僚、秘書官、護衛、副官の名前や性格などをスパイに探らせる必要がある。
さらに敵のスパイを見つけ出し、手なずけて「反間」として敵側に送り込む。
また「反間」の手で「郷間」や「内間」を養成する。その上で「死間」を使ってニセの情報を流す。そうなれば「生間」が帰国して情報をもたらすことも可能になる。
君主はこれらのスパイの中でも、特に「反間」を用いる重要性を認識しなければならない。
「反間」に対しては特に優遇してやることだ。

その昔、殷王朝興ったのも、伊尹※が夏王朝の臣であったからだ。
周が天下を取れたのは呂尚※が殷王朝の臣であったからだ。
このように明君名将は有能な人材を使って情報活動を行い、大きな成果をおさめたのである。
これこそ戦争を遂行する上で重要なポイントであり、軍事行動はスパイのもたらす情報によって決まるのだ。

※伊尹・呂尚
伊尹は殷の湯王に仕えた。また呂尚は周の文王に仕えた。伊尹はもと夏にいたことがあり、呂尚はもと殷にいたと伝えられているが、スパイだったという記録はない。

→スパイに関しては、情報漏えいやモラルに反することが発生してしまいますので、推奨はしませんが・・・とだけ言っておきますw

 

書き終えてみて

かなり厳しい例えもあったりでしたし、その解釈は違うだろう、と思われる表記も多々あったかと思います。
当初は作戦篇謀攻篇がディレクションにも同じことが言える!という思いつきからでした。
いざやってみたら、あれ?これってどう書くんだ?以外と置き換えられない、無理があるな・・・などなど。ということもありましたが、なんだかんだと最後まで書けたのはよかったな、と。僕の記事が役立つかどうかはわかりませんが、この孫子の兵法シリーズを読んで、火傷しないディレクターが増えたり、疲弊しない制作スタッフが増えたり、騙されないクライアントが増えたりすることを望みたいです。

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