今回は上手く置き換えられるかなぁ・・・いよいよ、このシリーズも終盤です。
思いつきで始めたものの、結構、大変でした・・・w

「孫子の兵法×制作(web)ディレクション」の10回目です。
前回はこちら


マンガ孫子・韓非子の思想 (講談社+α文庫) (日本語) 文庫

九地篇

将は国の宝


地の利は戦いの重要な条件である。
地形を利用して敵を制すれば勝てるが、そうでなければ敗北を喫する。
勝てる自信がある時は断固としてやり抜くことだ。
自信がない時はあっさり中止したほうがよい。
君主の命令でも戦うべきでない。

名を求めず罪を避けず、国の安全のために尽くす者こそ最高の将なのだ。

→受注時の立ち位置や状況はその後の制作進行の重要な条件である。
立場や状況を利用して無理な要望を制すれば勝てるが、そうでなければ敗北を喫する。
納品できる自信がある時は断固としてやり抜くことだ。
自信がない時はあっさりお断りしたほうがよい。
社長の命令でも受注するべきでない。

ディレクターたる者、自社の名前を売ることや実績に固執せず、プロジェクトが上手く行かない時は自らの責任とし、ひたすら自社やクライアント、スタッフの利益を考えるからこそ、全ての関係者から重宝されるのだ。

 

九種の戦場


戦場は散地、軽地、争地、交地、衢地(くち)、重地、圮地(ひち)、囲地、死地の九つに区分できる。

「散地」自国の領土内で戦う場合
「軽地」国境に近い敵地のこと。
「争地」敵味方双方にとって、どうしても手に入れたい必争の地
「交地」味方も行けるが、敵も来られる地
「衢地」そこを手に入れれば近隣諸国の軍事行動を牽制できる地
「重地」敵国内に深く進入し、すでに多くの町を通過している場合。
「圮地」山岳、森林、高山、沼沢地など行軍しにくい地。
「囲地」進入路が狭く、帰路が迂回していて、敵がわずかな兵力で、味方の大群を襲える地。
「死地」即戦即決以外には生き残る道がない地。

「散地」ではすぐには戦わず、敵を深く誘い込んでから攻撃せよ。
「軽地」では止まることなくどんどん進軍せよ。
「争地」は先に占領せよ。敵に占領されたら、攻めるべきではない。
「交地」では先に占領して敵を阻み、後方部隊との連絡を確保せよ。
「衢地」では外交交渉に重点をおくこと。
「重地」では現地調達を心がけよ。
「圮地」は急いで通り抜けること。
「囲地」では巧みな計略で切り抜けるべし。
「死地」では死力を尽くして戦うしかない。

→受注時の立ち位置や状況は先方からの依頼、50対50、コンペ、オープン、企画代行、コンサルティング/アドバイザー、担当者不在/担当者兼務、丸投げ、短納期/低予算などの九つに区分できる。

「先方からの依頼」自社の実績や商品/サービスを知ってクライアントから「御願いしたい!」と言ってもらえた場合
「50対50」今までに幾つかの仕事を請けたこともあり、お互いに意見が言い合える関係
「コンペ」競合他社も同等にチャンスがあり、文字通り案件受注に向け争いになる。
「オープン」門戸を広く開いてるクライアントで色んな企業からの提案を常に募集している状況
「企画代行」クライアントの企画部門をがっつり掴んでいる、または、自社が企画部門そのものの場合
「コンサルティング/アドバイザー」クライアントからの信頼厚く、がっつりクライアント内部に食い込んで、様々な情報に通じている
「担当者不在/担当者兼務」プロジェクトの人数が多すぎて誰が担当者なのかがクライアント側で定義が曖昧、もしくは雑務扱いで担当者がとにかく兼務しまくってる
「丸投げ」素人であることに盾に丸投げしてくるクライアント。責任は全てこちらである。
「短納期/低予算」即戦即決以外には生き残る道がない状況。

「先方からの依頼」ではすぐには受注せず、クライアントの話をよく聞いて自社の商品やサービスに合うのか、金額も交渉し、自社主導で進めていく。
「50対50」では止まることなくどんどん進行せよ。
「コンペ」はいち早く、そして多く情報を入手し、プレゼンをせよ。競合他社に持っていかれた場合は食い下がったりせずにさっと身を引くこと。
「オープン」ではいち早く応募し、制作スタッフに案件共有し、スタッフのリソースを確保せよ。
「企画代行」では外部協力会社との関係維持に重点をおくこと。
「コンサルティング/アドバイザー」では社内で様々なところから情報を入手し、総合的な判断をしてから提案を心がけよ。
「担当者不在/担当者兼務」は急いで副担当者や担当者の上長の連絡先を確保すること。
「丸投げ」では豊富な経験と持ち前の話術で「責任」からは抜けること。
「短納期/低予算」では死力を尽くして作るしかない。

 

包囲されたら


古来、戦上手は敵をかき乱すことに巧みだった。
大部隊と小部隊の連携を断って個別に戦わせ、兵力の転用を難しくし、敵の主力軍をバラバラにしてから攻撃する。
要するに有利とみれば行動し、不利とみれば動かないようにせよ。

もし敵が優勢な兵力で隊伍堂々と攻めてきた時はどうするか
そこを襲えば必ず救援に出るポイントを、まず攻撃する。そうすれば敵は動きを牽制される。
機先を制し、敵に余裕を与えない。これがポイントだ。

→古来、戦上手は敵をかき乱すことに巧みだった。
クライアントの各部署の同時打ち合わせを断って個別にヒアリング、リソースの転用を減らし、クライアントの要望をひとつひとつ精査してから制作する。
要するに有利とみれば行動し、不利とみれば動かないようにせよ。

もしクライアントが全く動きがないときはどうするか
そこを連絡すれば必ず担当者が動くポイントを、まず攻撃する。そうすればクライアントは動くしかなくなる。
機先を制し、クライアントに隙を見せない。これがポイントだ。

 

覇王の兵 ※[覇王の兵]天下を制覇する軍。


・国際情勢に暗ければ外交交渉はうまくいかない。
・山林、高地、沼沢地などの地形に通じていなくては行軍はできない。
・その地の案内人を重く用いなければ、地形をうまく利用できない。
この3つは1つでも欠けたら、覇王の軍とは見なせない。

→・外部協力会社の状況把握や関係構築が下手だと様々な案件対応、トラブル時の協力が御願い出来ない。
・クライアント側の社内の人間関係、立ち位置、パワーバランスに通じていなければ予定通りに進行出来ない。
・その地の案内人を重く用いなければ、地形をうまく利用できない。
この3つは1つでも欠けたら、名ディレクターとは見なせない。

 

常山の蛇


戦上手は常山の蛇「率然」のようだ。
頭を打つとしっぽが向かってくるし、しっぽを打てば頭が襲ってくる。
中間を打つと頭としっぽの両方が向かってくる。

呉と越は仇敵の仲だが、両者の乗り合わせた船が暴風にあったら、左右の手のように助け合うだろう。
馬を繋ぎ、車輪を埋めて、無理やり戦わせたところで頼りにはならない。

兵士を勇敢に戦わせるには、指揮が大事なのだ。
適切な指揮があれば、弱者も強者全力を尽くすようになる。
その場合、地形をつかみこれを利用することも忘れてはならん。

名将の手にかかれば、一人の人間を指揮するように、大軍を指揮する。
なぜなら、兵士を戦わざるをえない状況に追いやるからである。

すぐれた将が百万の大軍を率いれば、全員がふるいたち、死を賭して戦うようになる。
それというのも、彼はまず軍隊を「死地」に置いて兵士の退路を断つ。
兵士は戦わなければ破滅するので死力を尽くすのである。

→進行上手は常山の蛇「率然」のようだ。
頭を打つとしっぽが向かってくるし、しっぽを打てば頭が襲ってくる。
中間を打つと頭としっぽの両方が向かってくる。

呉と越は仇敵の仲だが、両者の乗り合わせた船が暴風にあったら、左右の手のように助け合うだろう。
馬を繋ぎ、車輪を埋めて、無理やり戦わせたところで頼りにはならない。

制作スタッフを予定通り動かし、制作物を仕上げるには、指揮が大事なのだ。
適切な指揮があれば、どのスタッフも全力を尽くすようになる。
その場合、自社、クライアントともに状況を把握しこれを利用することも忘れてはならん。

名ディレクターの手にかかれば、一人の人間を指揮するように、プロジェクトチームを指揮する。
なぜなら、スタッフを「その気にさせる」からである。

 

始めは処女の如く、後には脱兎の如く


軍事行動を起こす時は、処女の如く、もの静かにふるまい、敵の警戒心を解く。
その後、脱兎のように攻撃して、敵に抵抗する間を与えなければ、勝利を得られる。

→クライアントとの交渉において、始めはおとなしく、もの静かにふるまい、クライアントの警戒心を解く。
その後、脱兎のように行動して、クライアントに隙を見せなければ、いい条件を得られる。

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