ついにめんどくさくなってまとめてきたか!というわけではなく。
行軍篇はちょっと置き換えが難しそう、というか色んな表現に置き換えられすぎる?というか、たとえがすごく細かい話(事前に経緯や前提条件を書かないと伝わらないような感じ)だったので、ちょっと書けないなー、と思いつつ、でも飛ばすのは気持ち悪いので書くだけ書いて、置き換えせずに、次の地形篇で紹介したい部分があるので、それを書こう、と。

「孫子の兵法×制作(web)ディレクション」の9回目です。
前回はこちら
(ところで、略すと孫子のディレクションっていう訳のわからんタイトルになるなと思いつつ、そんな本あったら買ってしまいそうや)

行軍篇はそのまま記載し、地形篇もそのままで記載し、部分的に置き換えをご紹介出来るかと。


マンガ孫子・韓非子の思想 (講談社+α文庫) (日本語) 文庫

行軍篇

布陣


戦闘態勢につき、敵情を探る時は、次の点に注意せよ

  1. 山地を進む時は谷に沿って前進し、攻守に適した見通しのきく高地に位置せよ。
     敵が高地を占拠していたら、正面から攻撃しないこと。これは山地で戦う場合の原則である。
  2. 川を渡ったらすみやかに川岸から遠ざかり敵に乗ずる隙を与えない。
     敵が川を渡って攻めて来たら、水中で迎え撃ってはならない。
     敵の半数が岸に上がったところで攻撃を加えるのが効果的だ。
     敵との決戦では、川岸に軍を配置してはならない。
     川岸では高地に陣を張れ。まして流れに逆らって、敵の下流に布陣してはならない。
     これは川岸で戦う場合の原則である。
  3. 湿地を横切る時は、一刻も早く通過すること。ぐずぐずしてはならない。
     湿地で戦う時は、水草の生い茂っている場所を確保すること。一番いいのは木の茂みを背にすることだ。
     これは湿地で戦う場合の原則である。
  4. 平原で戦う時は、平坦な場所に陣を張れ右翼または背後に高地があり、前方が低くなっている地形がよい。
     これは平原で戦う場合の原則である。

以上、4つの原則は黄帝の時代から守られてきたもので、天下を統一出来たのも、この原則を守ったからにほかならない。

  • 敵が間近にいて、静まりかえっているのは、自然の要害を頼みにしているのだ。
  • 敵が遠くにいて挑発してくるのは、こちらを誘い出そうとしているのだ。
  • 敵が自然の要害を頼らず、わざと平坦な場所に陣を張っているのは、何か別の利点があるからだ。
  • 林の木々が揺れているのは、敵が近づいたためだ。
  • 草むらに仕掛けがあるのは、待ち構えていると見せかけているのだ。
  • 鳥が突然飛び立つのは、敵が潜んでいるためだ。
  • 獣があわてて逃げ去るのは、敵が近づいたためだ。
  • 土埃が隆起して舞い上がるのは、兵車が来たためだ。
  • 土埃が低く広がっているのは、歩兵部隊が近づいたためだ。
  • 敵の使者がへりくだった態度で、しかも着々と準備を重ねているのは、進撃してくる前兆である。
  • 敵の使者が強硬な態度で、しかも進撃の構えを見せているのは、撤退する前兆である。
  • まず戦車が出てきて、両側面に並んだ時は、決戦の準備である。
  • 敵が何の取り決めもなしに、和睦を申し出た時は、何か計略があると見るべきである。

→こちらに関しては置き換えはしません。各自で置き換えを感じ取っていただければ、と思います。

 

地形篇

地形


地形には、通・挂(かい)・支・隘・険・遠の六種類がある。

「通形」:味方も行けるが敵も来られる地形が「通」である。
・・・この地形で戦う時は、まず視野のきく高地を占拠すべし。そして補給路を確保して戦えば有利である。

「挂(かい)形」:進みやすく、退きがたい地形が「挂」である。
・・・この地形では、敵に備えがない時に出撃すれば勝ちを制することができるが、敵に備えがある時は難しい。敵に退路を断たれて撤退が難しくなるため、不利なのである。

「支形」:敵にとっても味方にとっても出撃に不利な地形が「支」である。
・・・この地形では、敵が誘いをかけて来ても応じてはいけない。退却して敵に追わせるようにする。そして敵の半数がこの地形に入ったところで攻撃をかければ、有利な局面を作り出せる。

「隘形」:「隘」の地形は、先んじて占拠し、入り口を制することだ。
・・・敵が先に占拠して入り口を守っている時は、決して強行突破してはならない。※敵が占拠してはいるが、入り口を守っていない時は、進撃を考慮してもよい。

「険形」:「険」とは要害の地をさす。この地形では先に占拠して高地に陣をとり、敵を待つことだ。
・・・敵が先に占拠していたら、さっさと撤退すること。まちがっても攻撃してはならない。

「遠形」:「遠」とは敵味方の距離が離れていることである。双方の兵力が均衡している場合、戦いをしかけたほうが不利になる。

以上の六種類が地形利用の原則であり、これを見分けるのは将の重要な任務であるから、よくよく観察しなくてはならない。

→受注にあたっては、通常・見積もりが甘い・未定・競合がいる・ハイリスクな案件・遠方の企業の六種類がある(もっとあるでしょうが、上の文章に合わせて6種で)。

「通常」:こちらもクライアントもお互いに意見が言いやすい状態が「通常」である。
・・・この条件で受注する時は、高い地位の決済者と仲良くなっておくことである。そしてクライアント社内に内情の情報を提供してくれる社員を確保してから臨めば有利である。

「見積もりが甘い」:受注しやすくイケイケドンドンで話が進んでいるが、退きがたい状態が「見積もりが甘い」である。
・・・この状態は、クライアントに備えが競合もなく、受注に向けて動けば契約することができる可能性があるが、作業範囲や全体を見渡す視野や情報、それらを精査する状況がなく、クライアントに予算と納期を迫られて交渉やお断りが難しくなるため、不利なのである。

「未定」:クライアントにとっても味方にとっても進行に不利な状況が「未定」である。
・・・この状況では、クライアントが契約をチラつかせて来ても応じてはいけない。一度お断りしてクライアントに案件発生が確定するようにする。そしてクライアントの案件発注がほぼ確定したタイミングでアポイントを取ったり、状況確認をして+αの提案やアイデアを伝えれば、有利な局面を作り出せる。

「競合がいる」:「競合がいる」場合は、先んじてくアライアントと仲良くし、契約に向けて積極的に動くべきだ。
・・・競合が先に契約して案件を受注しようとしている時は、決して強行突破してはならない。※競合が案件受注してはいるが、業務の棲み分けが出来ているときは、契約を考慮してもよい。

「ハイリスクな案件」:「ハイリスク」とは技術や条件、状況がかなり厳しい、複雑な条件の場合をさす。この状況ではいちはやくクライアントへヒアリングの場を設定して、状況や状態を把握している方と密に連絡をとり、クライアントからのGOサインを待つことだ。
・・・すでに競合が先に受注していたら、さっさと撤退すること。まちがっても金額や納期などで競合と勝負してはならない。

「遠方の企業」:テレワークやテレカンの導入で距離は関係なくなってきているが、まだまだ、実際に顔合わせをしないと不安になるクライアントは多い。それにテレカンでは伝わりにくい現場の雰囲気や状況もある。テレカンだけで全て済むと思ったら大間違いである。

以上の六種類が受注時の原則であり、これを見分けるのはディレクターの重要な任務であるから、よくよく状況確認、精査をしなくてはならない。

 

六種の敗因


敗因には走・弛・陥・崩・乱・北の六つがある。これは地形が不利で敗れたのではなく、将の過失による人災である。

「走」
・・・敵味方の兵力は同じなのに、決戦の時、兵力を集中できず、一の力で敵の十の力と戦うような場合。

「弛」
・・・装備も訓練も完璧なのに指揮官の能力が劣る場合。

「陥」
・・・指揮官は優秀なのに兵士が弱い場合。

「崩」
・・・士官が自信マンマンで、勝手な行動をとり、しかも将がこれを抑えられない場合。

「乱」
・・・将の統制がゆるく、兵士に規律がなく隊形がバラバラになっている場合。

「北」
・・・将の敵に対する認識が甘く、少数で多数にあたり、弱兵で強兵に立ち向かい、しかも重点的でない場合。

以上の六つの敗因すべて将の責任であるから、十分に注意しなければならない。

→敗因には「作業工数見積もりの甘さ」・「ディレクターが経験不足」・「制作スタッフが経験不足」・「制作スタッフの[プライド]をディレクターが抑え込めない」・「チームがまとまっていない」・「そもそもディレクションを舐めている」の六つがある。これは受注状況が不利で敗れたのではなく、ディレクターや担当営業、制作会社社長の過失による人災である。

「作業工数見積もりの甘さ」
・・・案件の規模に対し、こちらのスタッフの配置は適切なのに、納品が迫る際に、他の案件を受注したり、前回納品した青果物の修正等でリソースを集中できず、一の力で敵の十の力と進行するような場合。気を抜くな、ということである。必ず何かあるし、納品後に修正要望が出てくるという訳のわからないことは多々ある。

「ディレクターが経験不足」
・・・スタッフもクライアントも無理を言わないタイプで、状況も落ち着いて、納期も余裕あり、予算もあるのにディレクターが経験不足で無駄な作業が増えたり、クライアントに不信感を与える場合である。最近はこのパターンが増えている。現場経験のない(実際の制作経験のない)ディレクターが増えており、マーケ/営業依りのディレクターの場合、技術者の作業工数がわからないことが多い。

「制作スタッフが経験不足」
・・・クラウドソーシングWEBサイトやSNSなどでフリーランスの方を見かけて、そういった方々に制作を御願いすることもある。もちろん、ちゃんと責任持って、最期まで、こちらの期待をいい意味で裏切るようなクオリティの方も多々います。が、なかには残念ながらそうではない方々も多々います。自分を良く見せるため、実績やポートフォリオを盛っていたり、金額の安さに釣られて依頼したり。最初は軽い案件(失敗したときに自分が巻き取って処理できるものとか)で様子を見たほうがいいです。「え、これでよくデザイナー名乗ってるね!」「え、これでエンジニア名乗るの?」なんていうレベルもゴロゴロいます。

「制作スタッフの[プライド]をディレクターが抑え込めない」
・・・ディレクターが技術に明るくなく、制作スタッフが視野が狭かったり、プライドが高いタイプだと「我流」に走ったり、デザインの修正に従わないことがあります。チームで決めたレギュレーションに従わず、独自のコーディング方式で記述したり、グラフィックデザイン出身者が紙での見せ方にこだわり、WEBなのに、紙のようなデザインを展開しようとしたり、などなど。

「チームがまとまっていない」
・・・ディレクターがしっかりとスタッフの進捗や状況、スケジュールを把握しておらず、もちろん指示もいい加減であることが多いため、チームがほぼ動いていない状況。進行も人任せなため、納期近くになって、焦ることになる。

「そもそもディレクションを舐めている」
・・・これはディレクターというより、制作会社の社長とか営業とかですかね(もちろん、ディレクション=単なる仲介、窓口、丸投げするだけ、と思っているふざけたディレクターも世の中にはいる)進行する気はなく、全て丸投げ。必要な工数の見積もりや作業範囲のスコープ、制作物の確認もしないので、まともに進むわけがない。

以上の六つの敗因すべてディレクターの責任であるから、十分に注意しなければならない。

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