今回も先日に投稿した「孫子の兵法×制作(web)ディレクション」の3回目です。
前回はこちら
今回は謀攻篇です。


マンガ孫子・韓非子の思想 (講談社+α文庫) (日本語) 文庫

謀攻篇

 

用兵の法

戦は国を無傷のままに保つのが上策であり、国に損失を与えるのは、勝ったとしてもよくない。
全軍を無傷のまま保つのが上策で損失を与えるのはよくない
旅団を無傷のまま保つのが上策で損失を与えるのはよくない
大隊を無傷のまま保つのが上策で損失を与えるのはよくない
小隊を無傷のまま保つのが上策で損失を与えるのはよくない

それ故、百戦百勝は最上とはいえない。
戦わずして相手を屈服させることが最上なのである。

→プロジェクト進行は会社を無傷のままに保つのが上策であり、会社に損失を与えるのは、納品が出来たとしてもよくない。
プロジェクト関係者全員を無傷のまま保つのがいいやり方でプロジェクトが原因で退職をさせたり、精神的に追い込んだりはよくない
自社側のプロジェクトメンバー全員を無傷のまま保つのがいいやり方でプロジェクトが原因で退職をさせたり、精神的に追い込んだりはよくない
自社の制作スタッフさんを無傷のまま保つのがいいやり方でプロジェクトが原因で退職をさせたり、精神的に追い込んだりはよくない
外注クリエイターさんを無傷のまま保つのがいいやり方でプロジェクトが原因で退職をさせたり、精神的に追い込んだりはよくない

それ故、全てにおいて都度交渉での進行は最上とはいえない。
交渉をせず、相手を屈服させることが最上なのである。

 

政略

最高の戦略は謀略によって勝つことだ。 これに次ぐのは外交手段で屈服させること その次は強大な軍事力で圧倒すること。
最低の策は、敵の城塁を攻めることである。
大盾や攻城器具を整えるには三ヶ月はかかる。
攻城用の土塁や陣地を確保するにも三ヶ月かかる・・・
将ががまんできず、血気にはやって攻撃命令を出せば、兵はアリのように城壁に群がり、死傷者は1/3に及ぼう。しかも失敗に終われば、戦いは最も悲惨な結果となる。

戦上手の将は戦うことなく敵を屈服させる。
攻撃することなく敵の城塁をおとしいれる。
戦いを長引かせることなく敵国を滅ぼす。

なぜならあらゆる手立て(政治・外交・謀略・経済・軍事)で戦い、すべてに優位を保つことで天下を争うので、戦力の損失を受けずに、完璧な勝利をあげられる。これこそ謀略によって戦う法則である。

→最高の戦略は企画によって納得させることだ。 これに次ぐのは企業同士のしがらみや付き合いで納得させること その次は強大な企業名や実績で圧倒すること。
最低の策は、飛び込み営業で担当者名を聞きイチから提案することである。
商談の席に持ち込むまでにはある程度の日数がかかる。
提案用の企画や事前ヒアリング、現行の担当の制作会社の調査などなど・・・
責任者ががまんできず、血気にはやって攻略命令を出せば、社員はアリのようにクライアント獲得に群がる。しかも失敗に終われば、最も悲惨な結果となる。

提案上手な提案者(ディレクターや営業)は交渉や説得することなく担当者を納得させる。
交渉や説得することなく、クライアントを魅了する。
プロジェクトを長引かせることなく制作物を納品する。

なぜならあらゆる手立てで提案し、すべてに優位を保つことでイニシアチブを握るので、予算やスケジュール、精神的疲労などの損失を受けずに、完璧な勝利をあげられる。これこそ謀略によって戦う法則である。

 

戦いの原則

戦いの原則は・・・
10倍の兵力がある時は、敵を包囲して壊滅させる。
5倍の兵力がある時は、攻めて攻めて攻めまくる。
2倍の兵力の時は、正面と背後と2方向から攻撃する。
互角の兵力の時は・・・敵の不意をついて勝利を収める。

劣った兵力の時は、守りをかため、決戦を避ける。
戦力に差がありすぎる時は退却して敵をかわす。
弱小なくせに身のほど知らずに戦うと、強大な敵のえじきになるだけだ。

兵力が強大な時は包囲し、攻撃し、分断する。兵力が劣る時はよく戦い、よく守り、よく避ける。
その場合、指揮がすぐれていないと、惨敗を喫し、壊滅する危険がある。

なぜならあらゆる手立て(政治・外交・謀略・経済・軍事)で戦い、すべてに優位を保つことで天下を争うので、戦力の損失を受けずに、完璧な勝利をあげられる。これこそ謀略によって戦う法則である。

→割と直接的な表現が多く、上手く例えられないのですが、兵力は人員のリソースや予算と捉えることが出来ます。
そのため、リソースに余裕がある場合は特に問題はないですが、その逆が問題で、リソースに余裕がない場合は決戦を避ける必要があり、人員とプロジェクト規模に差がある場合は請けるべきではない。
人員に余裕がない、会社規模も小さいのに身の程を知らずに請けてしまうと、クライアントにも迷惑をかけてしまう。

 

統帥権

将は国の大黒柱である。
将が指揮権を把握していれば、国は強大になるし、将がダメだと国は弱体化する。
君主が軍を危険に追いやるケースが3つある・・・
 ・第一に進むべきではないのに進撃を命じ、撤退するべきではないのに退却を命ずる。これでは指揮権が牽制される。
 ・第二に軍事もわからぬくせにむやみに口出しし、将兵を混乱させること。
 ・第三に指揮系統を無視して、みずから指揮し、兵士の不信をまねくこと。
軍内部に不信感が生まれれば、敵は必ずその隙に乗じてくる。これではわざわざ敵を勝たせるようなものだ。

勝利を収めるための条件は5つある。
第一に、戦うタイミングを心得ていること。
第二に、兵力の効率的な配備を心得ていること。
第三に、政府と人民が共通の信念を持っていること。
第四に、準備をよく整え、敵の準備不足を狙うこと。
第五に、将軍が有能で、君主が口出ししないこと。
この五つが勝つための前提条件である。

→ディレクターは案件進行の大黒柱である。
ディレクターが指揮権を把握していれば、案件はスムーズに進行するし、ディレクターがダメだと案件はコケます。
上長や社長(自社、クライアント側含む)がプロジェクトチームや制作陣を危険に追いやるケースが3つある・・・
 ・第一に進めるべきではないのにプロジェクト進行を命じ、停止するべきではないのにプロジェクトの停止を命ずる。これでは指揮権が牽制される。
 ・第二に制作や状況もわからぬくせにむやみに口出しし、スタッフを混乱させること。
 ・第三に指揮系統を無視して、みずから指揮し、スタッフの不信をまねくこと。
チーム内部に不信感が生まれれば、必ずそのプロジェクトや案件は失敗します。

無事にプロジェクトや制作進行を進める(納品をする)ための条件は5つある。
第一に、進行のタイミングを心得ていること。
第二に、スタッフの効率的な役割分担心得ていること。
第三に、クライアントと制作スタッフが共通の信念を持っていること。
第四に、準備をよく整え、クライアントの不備も補うこと。
第五に、ディレクターが有能で、上長が口出ししないこと。
この五つが勝つための前提条件である。

 

彼を知り、己を知る

自分の長所もわきまえている、敵の欠点も見抜いている→敵を知り、己を知るならば、百回戦っても危険に陥ることはない。
敵のことはともかく、自分のことはよくわかっている→敵を知らず、己を知っていれば勝つチャンスは五分と五分。
敵も知らず、己も知らずとすれば?→敵も知らず、己も知らぬようでは、戦うたびに失敗するだろう。

→自社、自分、制作チームの長所もわきまえている、クライアントのクセや案件内容の注意点、留意点、懸念点もわかっている→百件以上の案件をこなしていくなかでも危険に陥ることはない。
クライアントのクセや案件内容の注意点、留意点、懸念点はともかく、自社、自分、制作チームのことはよくわかっている→危機はあるだろうし、色々と多難ではあるが、制作チーム次第では乗り越えられる。
クライアントのクセや案件内容の注意点、留意点、懸念点も理解せず、自社、自分、制作チームのこともわかっていないとすれば?→上手くいくわけがない。

 

まとめ

いかがでしょうか。
前半部分はちょっと上手く例えが出来なかったですが、統帥権とよく聞く、「彼を知り己を知らば百戦して危うからず」に関しては一番書きたかった部分ですし、これを意識しない上長やディレクター、広告代理店営業マンが多すぎるんですよ。自社を知り、クライアント知らば百戦して危うからず、ですよ。もっとお客さんを知りましょう(大体、営業ってお客さんと最も仲がよく、そのお客さんを理解する立場でもあるだろうに)。

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