前回も投稿した「孫子の兵法×制作(web)ディレクション」の次編です。
前回はこちら
今回は作戦篇です。


マンガ孫子・韓非子の思想 (講談社+α文庫) (日本語) 文庫

今回もこちらの本から引用させていただきますが、韓非子×マネジメントも面白いなーと感じた次第です。

作戦篇

 

日々に千金を費やす

戦争ともなると、戦車千台、輸送車千台を用意し、兵士十万人を動員し、しかも千里の遠方へ糧秣を運ばなければならない。
内外の軍費、外交情報の支出、資材の補充、車輌、武器の修理など、日々、莫大な経費がかかる。
その上ではじめて十万の大軍が動くのだ。

→大きな案件ともなると、ディレクター、デザイナー、コーダー、ライター、カメラマン、プロデューサー、プログラマーなど案件規模や内容に依って各スタッフを用意し、各スタッフにおける役割や仕事内容を決めるためにヒアリングをおこない、納期計算、工数計算、他案件との調整、スタッフのスケジュール確認(リソース確認)、外部WEBサービスや、サーバーなどの調査など、日々莫大な時間が準備に費やされる。その上ではじめて大きな案件が動くのだ。

 

久しく戦うは不利なり

大軍をくり出す目的は勝つことにある。
長びけば軍隊は疲れ、士気も衰えてくる。
いざ攻撃、というときは戦力はもう消耗してしまっている。
それにいつまでも兵を外に出しておくと、国の財政が苦しくなる。
こんな時、近隣の敵がチャンスとばかり攻めてくる。
そうなるとどんな知謀の将がいたところで、収拾できない。

→(プロジェクトの時間が想定より)長引けば制作チームもクライアント側も疲れ、士気も下がってくる。
(準備時間が長すぎると)いざ、実制作というときはやる気も削がれ、制作チームのやる気は消耗してしまっている。
それにいつまでも準備期間を過ごしていたり、制作物が納品出来ていないと、(代金が入金されず)会社は財政が苦しくなる。
こんなとき、別の案件が入り込んでくるが(社内のリソースは空いておらず)、そうなると、どんなディレクターでも収拾がつかなくなる。

 

兵は拙速を貴ぶ

戦う時は、短期決戦を狙え。いたずらに長引かせるな。
戦いを長引かせて国にプラスになることなど絶対にありえない。

戦いは長引けば長引くほど、損失も大きくなる。
たとえ勝ったとしてもわりに合わない。
戦いは勝つことが大事なのだ。
国が疲弊し民衆の不満を買わないためにも、すばやく敵を破り、すばやく収拾する必要がある。
長引けば国家財政の崩壊を招くだろう。

→制作がスタートしたら、短期決戦を狙え。いたずらに長引かせるな。
製作期間を長引かせて会社にプラスになることなど絶対にありえない。

製作期間が長引けば長引くほど、損失も大きくなる。
たとえ納品し、代金を回収できたとしてもわりに合わない。
制作は納品し、代価を回収することが大事なのだ。
会社が疲弊し社員の不満を買わないためにも、すばやく制作内容や方向性を決定し、素早く納品し、、すばやく回収する必要がある。
長引けば会社運営財政の崩壊を招くだろう。

 

智将は敵に食(は)む

用兵の害をよく知らなければ、用兵の利を知ることができない
戦上手の将は一度兵を動員したら二度と徴兵するようなまねはしない。
兵糧の輸送も三度は行わない。足りない分は国内から運ばず、敵地で調達する。
敵地で調達した穀物一鍾は自国から運んだ二十鍾に相当する。[鍾:約50リットル]
敵地で調達した餌料一石は自国から運んだ二十石に相当する。[石:約20リットル]
兵士を戦いにかりたてるには、敵愾心をあおることだ。
敵の物資を奪うには、手柄をたてた兵士にほうびを与えることだ。
奪った兵車は旗を付け替えて自軍に加えろ
捕虜は味方に加えて戦わせよ
勝ってますます強くなるとはこのことだ

→プロジェクト/制作の進行のデメリットをよく知らなければ、プロジェクト/制作のメリットを知ることができない
プロジェクト/制作の進行が上手いディレクターは一度プロジェクトメンバーを招集したら、途中で追加メンバーを招集するようなまねはしない。
クライアントとの打ち合わせも何度も行わない。できるだけ少ない回数で多くの情報を得るように工夫する。足りない情報はヒアリングシートや検索で調達する。
スタッフをやる気にさせるには褒めることだ。
手柄をたてたスタッフには当初の予定より多い報酬を提示することだ。
手に入れた情報はプロジェクトチーム内で共有しろ
クライアントを味方にして、プロジェクト/制作の進行をスムーズにせよ
案件進行が進むにつれて益々上手く進んでいくとはこのことだ

 

兵を知る将は民の司命なり

戦は勝つことが目的であって長引かせてはならない。
この道理をわきまえた将にこそ、民族の生命、国の安全がかかっているのだ。

戦上手は、戦の中で自らを強大にする。
敵の戦力を味方の戦力に変え、戦を長引かせることの害をわきまえて短期決戦に出る。
国の安全はこうした将の手に握られているのだ。

→制作案件は納品することが目的であって、長引かせてはならない。
この道理をわきまえたディレクターにこそ、スタッフの給与となる利益や、企業の安定した経営がかかっているのだ。

プロジェクトの進行が上手いディレクターは、案件進行の中で自社(の立ち位置)を強くする。
クライアントの担当をプロジェクトチームの一員に加え、制作案件を長引かせることのデメリットをわきまえて出来るだけ効率的になるよう工夫する。
制作会社の安全な経営はこうしたディレクターの手に握られているのだ。

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