以前からやってみたい、書いてみたいテーマありまして。
それがタイトルにある、「孫子の兵法」について。古今東西様々な時代で読まれ続けている兵法書であり、ビジネス書でもあります。
西洋系のマーケ書や兵法書は具体的にああしろ、こうしろが多いのですが、東洋系はそのあたりは寓話だったり、わりとニュアンスで記載されていることが多く、故に色々な物事や事象に置き換えやすいとも思っています。

歴史大好きだった中学や高校時代からこういった本を読んでは、「ビジネス書って書いてあるけど、ビジネスにどう使うの?」「社会に出たらこんな駆け引きやこんなこと考えながら仕事するの?」とか色々と想像しながら読んでいました。実際に社会に出てもう20年以上経ちますが、該当する部分や、参考になる部分が多々あり、「目的遂行のための基礎」が兵法の根幹なのかな、と思うフシもあったり。

いくつかの章に分かれているので、1章ずつ記載できれば、と。
孫子の兵法の引用については、以下の書籍を引用させていただいております。
また、敵や戦争といった言葉が出てきますが、プロジェクトや制作案件(制作ディレクションですし)、目的遂行の妨げになる事象=敵=問題点や事象、心理などと置き換えて読んでいただくとわかりやすいかも
しれません(決して、敵=厄介な客というわけではないのでw)。上手く置き換えができないものもありますが、そこはスルーでw


マンガ孫子・韓非子の思想 (講談社+α文庫) (日本語) 文庫
(孫子の兵法にディレクション視点で注釈入れた「孟徳新書 制作ディレクション編」ってほうが面白いかな・・・)

始計篇(計[ハカリゴト]や計画の基本)

 

始計

戦争は国の大事である。人民の生死に関わり、国家の存亡に関わる大事であるから・・・細心の研究と慎重な検討がなされなければならない。

→プロジェクトは企業の大事である。社員の給与に関わり、企業の存亡に関わる大事であるから・・・細心の研究と慎重な検討がなされなければならない。

 

道・天・地・将・法

まず、五つの面から比較検討し、情勢を探る必要がある。
一に曰く、道
二に曰く、天
三に曰く、地
四に曰く、将
五に曰く、法

道とは・・・人民と政府とが備えるべき共通の意志のこと。人民と政府が一致協力し、生死を共にし、苦難を共にしてこそ、犠牲を恐れなくなる。
→現場と経営陣とが備えるべき共通の意志のこと。現場と経営陣が一致協力し、問題解決を共にし、要件定義を共にしてこそ、犠牲を恐れなくなる。

天とは・・昼夜、晴雨、寒暑など、さまざまな天象の変化と気候の変化、タイミングや機動性
→昼夜、晴雨、寒暑など、さまざまな天象の変化と気候の変化、タイミングや機動性。
補足:昨今は自然災害も多く、それに伴い配慮するべき事象もあったりでしょうし、クライアントや自社の取引先に依っては時期や季節で忙しくなったり、連絡が取れないほどの繁忙期もあったりなどがあるため、そういった意味でのタイミングや機動性(自社の)。

地とは・・・道のりの遠近、地形の険しさ、地勢の広さ、死地、生地などの地形の条件を指す。※[死地・生地]危険な地形、安全な地形
→クライアントまでの道のりの遠近、クライアント社内における担当者の立ち位置やプロジェクトの大きさ、扱われ方。
補足:プロジェクトを戦争とするなら、戦場である地形や地勢はそのプロジェクトや先方担当者の立ち位置に該当します。

将とは・・・将として備えなければならない条件。才知、威信、仁愛、勇気、威厳などの条件を指す。
→リーダー(ディレクターまたはプロデューサー)として備えなければならない条件。デザインや設計、全体構造、進行方向などを考える、まとめる才知、メンバーからの信頼感、メンバーへの思いやり、クライアントの要望に意見する勇気、トラブルや問題が発生しても慌てたりせず、堂々としている姿などの条件を指す。

法とは・・・軍隊の編成、合図のきまり、将の職責、軍需品の管理などの規定を指す。将軍ともなれば、これら五つの面をしっかりと認識する必要がある。これらを正確に認識してこそ戦に勝つことができる。認識が不正確では勝てるはずがない。
→プロジェクトメンバーの編成、用語や使用する言葉の統一性、連絡系統の決定、ディレクターやプロデューサーの役割/責務、予算やメンバーのリソースの管理などの規定を指す。プロジェクトにおけるルール。ディレクターやプロデューサーともなれば、これら五つの面をしっかりと認識する必要がある。これらを正確に認識してこそ安全に制作物を納品することができる。認識が不正確では納品が予算内かつ納期限内で出来るはずがない。

 

七つのポイント

それ故、さまざまに比較検討して情勢を探り出し、こう自問せよ・・・
・政府と軍民とどちらが一致団結しているか。
・将はどちらが有能か。
・天の時と地の利はどちらが勝っているか。
・法はどちらがよく守られているか。
・軍事力はどちらが勝っているか。
・兵士はどちらがよく訓練されているか。
・賞罰はどちらが厳正に行われているか。
これらを比較すればどちらが勝ち、どちらが負けるか判断することができる。


・先方担当者はどんなタイプか。無理を言ってくるタイプなのか、優しい人なのか、上に対しても意見が言える人なのか。自社の担当営業はどういったタイプなのか。イエスマンなのか、意見が言えるタイプなのか、など。
・他案件との絡み、自社の売上状況、プロジェクトの規模、プロジェクトの立場、扱われ方、担当者の立ち位置など。
・クライアントはルールを守るタイプか、ひっくり返すタイプか、問答無用の無慈悲な神がいるタイプか。
・自社のリソース、スタッフの空き状況、潤沢に予算はあるのか、協力的な外注さんがいるのか。
・自社スタッフや外注スタッフのクオリティや作業速度は。
・クライアント側のプロジェクトチームメンバーの士気は高いか、低いか。自社のチームメンバーの士気は高いか低いか。
これらを比較すればこのプロジェクトを受託したらプラスになるのか、最終的にマイナスな案件になるのか判断することができる

 

詭道[いつわりあざむく行為]

兵は詭道なり-知恵を駆使して敵を欺く千変万化の行為である。

・能力があるのに無能のフリをする
・戦わないと見せかけて戦い
・遠ざかると見せかけて近づき
・近づくと見せて遠ざかる

→ここは上手く置き換えができないですね。制作ディレクションにおいて、これをそのまま地でやると混乱させます(敵が競合他社ならいいかも知れませんが)。

 

敵に乗ずる

・エサでもって敵を誘い出す。
・敵の内部を混乱させておいて攻撃する。
・敵が充実し、弱点のない時は全力で守りをかためる。
・敵が強大な時は一時退避する。
・敵を挑発して怒らせる。
・低姿勢に出て敵を油断させる。
・敵が警戒を緩めている時は、手を打ってあわてふためかせる。
・敵が団結している時は離間作戦に出る。
「その不備を攻め、その不意に出ず」これは用兵の秘訣である。戦争は千変万化するから柔軟に運用しなければならない。


・有用な効果や結果をもたらす施策を提案し、予算を上げる。
・クライアントが優柔不断で何も決まらない動かない時は具体的な提案で動かしてみる。
・クライアントから想定外の一方的な要望が出てきているときは全力で守りをかためる。
・クライアント内部が意見がまとまらず、ふわふわしているようなときは一時退避する。
・提出物やこちらのアクションにレスがないときは、上位者に連絡を取ってみる。
・低姿勢に出てクライアントに要らぬ感情を抱かせないが言うことは言う。
・クライアントの競合他社の施策などを説明してみる。
・クライアントが自社以外の別のサービスを検討しているときは、比較表を作成し、調べてクライアントに説明。
「その不備を埋めて、その不意に合わせて提案する」これは企画営業の秘訣である。プロジェクトは千変万化するから柔軟に対応しなければならない。

 

廟算

戦争を始める前にはまず宗廟の中で敵味方の優劣を比べることだ(※宗廟 祖先を祀るみたまや。国のシンボル)。
・味方が優勢であれば勝つチャンスは大であるし
・味方がやや劣勢ならば、勝つチャンスは少ない。
・綿密に計画すれば勝てるが、いいかげんだと勝てない。ましてや何もしなければ勝てるわけがない。
こうしたやり方で観察すれば、勝つか負けるか予知することが出来る。

→プロジェクトや制作案件の受注前にはまず社内で自社とクライアントの状況を検討することだ。
・自社のリソースに余力があり、予算やスケジュールに余裕があれば納期期限厳守も品質維持も可能
・自社のリソースに余力がなく、予算やスケジュールにも余裕がなければ納期期限厳守も品質維持も難しい
・綿密に計画すれば納期や品質維持も出来るが、いいかげんだとそれは難しい。ましてや何もしなければ出来るわけがない。
こうしたやり方で観察すれば、無事納品できるか、炎上案件になるか予知することが出来る。

こんな感じでいかがでしょうか。
また、タイミング見て続きを書いていきたいと思います。

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