高校受験を終えて、合格発表までのあいだはさしてドキドキワクワクもなかった。合格するのはわかってた、と言ってしまうとなんかすっごい嫌味だけど、偏差値50あるかないかの地元の普通科の公立高校である。
まぁ、普通に受かってた(ただ、もんのすっごいマグレで進学クラスに紛れこんでしまったがために入学してからすっごいしんどかったし、進学クラス入りたかったけど入れなかった友人からは裏切り者とか、隠れて勉強してやがった、とか言われて高校時代はあまり楽しくない)。話が逸れた。
Y姉への報告
合格したあとでも塾には一応行ってたので(1回か2回はあった)、そこでY姉に報告したと思う。
そのときの言葉は覚えてない。合格したよ、っていう普通の報告だったんじゃないかな。
そして、他のメンバーがいないところでデートの話をしてたんだと思う。Y姉がひとりになるタイミング見計らって。
デートの準備と不安
合格してデートできるってのは嬉しいんだけどさ、中学生で、しかも田舎育ち。名古屋なんてほとんど行ったことない。
「デートして」と言ったのはいいけど中身はまるで考えてなかった。どうしよう?
背は高いからY姉が弟を連れてるような感覚にはならないんだけど、坊主頭(←やたら気にしてる)だし、
服なんて当時学生服と空手着とジャージがほとんどだから私服のセンスなんてまったくない。
ましてセンスよくないし。
Y姉嫌がるかな、キャンセルかな、とか思いながらもデートの話をした。
そしたら「いつにする?」って普通に返してくれた。
このねーちゃん、マジで中学生とデートしてくれんのか、と驚いたwww
初めてのデート
記憶が曖昧だけど日曜だったと思う。
精一杯の努力のファッションに身を包んで(←多分努力しすぎて空回った結果、ださい格好になったはず)地元の駅に到着。
映画を見に行くことにした。少し早めに駅について、Y姉を待つ。
緊張してた。だって、コクるつもりだったから。
今までの言動から多分バレバレだったと思う。また俺ってわかりやすいし。
Y姉来た。
濃くはないもののちゃんと化粧してたし、服もバイトの時よりは気をつかってくれてるのかな・・・?いや、そうでもないかwww
やっぱり、かわいい。
塾のときはそんなに話せないし、一緒にいてもせいぜい10分から15分。
今日は一体何時間一緒にいられるんだよ、と嬉しくてたまらない。でも会話もつのかな、俺。
こっから先が更に曖昧。多分浮かれすぎと緊張でぶっ飛んでる。
映画は「チャイニーズゴーストストーリー3」
なんで、これを見ようと思ったのかわからない。
ただ、劇中にちょっとエロイシーンあったもんで「しまった」とは思った。
なんで希望とか聞かなかったんだろうなぁ。あとなんかテキトーにショップを回ってた。
今思うと、必死だったんだよね。余裕が全然なかった。
退屈させちゃいけない、とかこのあとコクるんだ、とか。でも空回ってた。
Y姉は何も言わずについてきてくれて、とにかく何も嫌な顔せずひたすら付き合ってくれた。
告白の瞬間
映画も終わって、そのあとどうしていいのかわからず、帰ることにした。
帰るの嫌だったけど、中学生の持ってる金なんてたかがしれてるし(奢ってもらうのは男として嫌だったもんで自分のぶんぐらいは自分で出してた)。
それに、この日がY姉に会える最後の日だったから(もう塾は終わってた)。
映画の話や風景、同級生、塾の仲間の話など、当たり障りのない話をしながら帰途につく。
ただし、離れたくなかったからわざと普通電車を選んでゆっくり帰った。
この電車だと地元の駅につくまで1時間弱はある。
まだコクってなかった。なかなか切り出せないでいた。
そのことが気になってあまり話せない。会話も徐々に少なくなってきてお互いに黙ってしまった。
Y姉もなんとなくわかってるだろうな。
この空気は。その時点で地元の駅まであと2つか3つ。ここしかないと思って切り出した。
「あのさぁ、Y姉。実はさ、Y姉のこと好きなんだよね。別に付き合ってとかじゃないんだけど・・・」
嫌われたくない、はっきりとフラれたくないという想いが要らん言葉を付け足した。
まぁ、今にして思うと中学生に付き合ってと言われても無理だろうけどさ。
そのあとは今までも無言が嘘のように場を取り繕う感じで「Y姉、気づいてた?」って。
Y姉は「ありがとう」と言って微笑みながら「うん、なんとなく、そうなのかなぁー」って。
「いつから?」って聞いたら「デートの申し込みがあってから」って。
いや、意外と最近じゃねーかwwwそのかなり前から好きだったんですけど。
最後の時間
そんな話をしていたら地元の駅についた。
でも、まだ一緒にいたかったからY姉に「まだ一緒にいたい。次の駅までいい?」ってちょっとわがまま言ってみた。
そしたら「いいよ」って。Y姉優しい。こんなガキ相手にさ。
ちょうど夕陽がキレイな時間帯で夕陽がキレイだねーってY姉が言う。
俺もそうだねーって言いながらも夕陽見てない。
夕陽見てるY姉の顔をガン見。かわええ。ますます惚れてしまうやろが。
次の駅で降りて、折り返しの電車に乗って地元の駅に到着。
今日はありがとう、なんて言って駅から自転車で一緒にY姉の家の前まで送り、そこで分かれた。
返事とかはもらってないけど、伝えるだけで精一杯でやれキスやら付き合うだのは全く考えてなかった。
その後
その後、高校入ってからは1回か2回程度、Y姉がバイト終わる時間を見計らって、自主トレのフリしてランニングに出かけ、Y姉に会って話したけど、告白への返事とか好き、という感情を伝えることはなかった。
そしてY姉がバイトのシフトが変わったのか辞めたのか会えなくなってきたのと、僕も「迷惑だったかな」と思うようになり、それ以来Y姉には会ってない。
