最近は色々と仕事が増えてまして。新たに今、くだされてる指令のなかで「ペルソナ作らなあかん?」ってのがまぁあるんですよ。
で、ちょっと思い出すために、以前、ペルソナを作った時の記事を読みなおそうと、いうことで。
—————————————————-
ペルソナ作ってみました。この記事は2008年8月にNETAXIONARYに掲載した記事です。
今回、株式会社Bさんの新サイトを作るにあたって「ペルソナ作り」にチャレンジいたしました。その経緯と作業の流れを書きたいと思います。まず、Bさんは「専門人材派遣」をメインの業務にされている企業さんで、新サイトの構造としては「SNS+企業サイト」という構造です。Bさんに登録されている「(派遣)スタッフさん専用のSNSを構築」ということになったので「ならスタッフさんを基にペルソナを作ってみよう」と。


ただ、やったことないことなので何からやっていいのやらさっぱり(提案したのは僕なんですけどね)な状況で、全てが手探りで、資料や、いろんなサイトから情報を引っ張りだしての作業となりました。
以前からペルソナには興味があったので多少は資料なり用意して勉強はしてましたが全然足りない。早速ネットで色々調べることに。

運よく「WEB担当者フォーラム」さんでレポートが出てたので、これを基本に進めていきました。そのレポートを含め、ペルソナスクエアさんや棚橋さんの「DESIGN IT! w/LOVE」や富士通さんなどでペルソナに関わる部分がいくつかあったのでコピペしまくってパワーポイントにまとめていきました。するとアッという間に100Pを超える超対策(笑)結構大変そうです。

  1. アンケート
  2. 集計
  3. インタビュー対象者選出
  4. インタビュー
  5. テープ起こし
  6. ファクトイド抽出
  7. クラスタリング
  8. ペルソナ骨組
  9. ペルソナ肉づけ

簡単に作業の流れを書きだしてみました。基本的にこちらでメインの作業をおこない、Bさんにも手伝っていただく、というスタンス。

「WEB担当者フォーラム」さんのレポートを読むと、6のファクトイド抽出からは「ワークショップ形式」で一緒に作業をやっていくようなことが書かれてたので、僕らもそれを真似させていただくことに。先ずはアンケートの作成からです。
アンケートは全部で50問。失敗だったのは「紙」でやってしまったこと。アンケートサイトを作ってしまえば集計もラクだったのに・・・ここは反省。

アンケート内容は「インタビューに協力してもらえるかどうか」、とか趣味や、「どういったサイトを使ってるか」、とか「仕事終わってからは何をしてるか」、とか普段の生活スタイルを中心に諮問を作成。あとは「Bへの要望」なども盛り込んで、早速配布。

アンケート対象者(スタッフさん)は全部で200名を超えていて、しかも「DTPのオペレーター」や「デザイナー」さんたちがほとんどなので、とかく忙しい、仕事が遅くなることが多い方たちばかり。全部返ってくるかなぁ?なんて心配してましたけど、やっぱり全部の回収は出来ず。

それでも100名ぐらいはなんとか回収できたので、集計しながらそれをもとにインタビュー協力者をチェック。
アンケート諮問の「Bへの要望」などは業務改善にも役立ったようで、普段なかなか言えないこととかも書いていただけたので感謝。貴重ですね、ユーザーの声は。
協力者が意外と少なく(全部で9名、全員女性)、ほんとはインタビュー対象者をこちらで決めるようなんですが(スクリーニング=ふるい分け)、業務上の問題や仕事状況から難しいので協力者全員にインタビューを行うことに決定。

次にインタビュー対象者用にインタビュー内容を決めました。アンケートで「?」と思った部分や、突っ込んで聞いてみたい部分などをまとめ、それに基本質問などを盛り込んで、一人あたり45分から1時間ぐらいを目安にインタビューをすることに。

このインタビューの方法がどうやら「デプスインタビュー」というもので、どうやら普通のインタビューのように「答えを引き出す」ような話し方でなく、「それはなぜ?」とか「どうしてなのか?」といった感じで深く掘り下げるインタビューで、僕は「深く掘り下げる」トークは苦手なので、ここは「常に深く掘り下げる」K君にお願いをしました。

サイトの構築も彼がやる予定だったので、二人で相談しながら質問内容を決めて、全員分のインタビュー用紙を用意。

さらに、インタビュー中の模様をメモにとりながら進みたいのと、対象者と僕らは初対面なので、相手の緊張をほぐすためにもBの社員さんにも参加してもらうことに。

インタビューは対象者の時間が重なったり、仕事に影響でないように配慮した結果ほぼ毎日1週間Bさん通いづめな状況。

インタビュールームにビデオカメラをセットして、ネットも使うだろう、ということでノートPCも用意。しかし、これまたモバイル+マシン古くてうまく動くかどうか不安定な状況。

インタビュー対象者にはBさんまで来社していただき、そこでまず僕から今回の意図とペルソナの簡単な説明をしました。

やはりペルソナの認知度低いですね。今回、映像と音声の両方が欲しかったので、アポイントを取った時点でその旨を伝えていただいてたんですが、人によっては映像も音声もNG。

当日、インタビュー前に「公開するわけではない」と説明したところほぼ全員が「録音ならOK」という返事をいただけました。どうやらネットでそのインタビューを公開すると思われていたようで、こちらの説明不足でした。すいません。

インタビューは結構盛り上がっていて、和気あいあいとした中で進んでいきました。Bさんもスタッフさんの意外な一面が見れたようですごい新鮮で、いい刺激になったようです。 
写真はインタビューシミュレーション時のもの。
インタビューが終了。

次はテープ起こし。これに関しては録画テープ再生しながらテキストに起こしていくだけなのですが、人によっては声が上手く拾えてなかったりでメモを見たりK君に聞きながら何とかテキストに起こす。Bさんに書いてもらったメモがかなり細かく漏れなく書いてくれていたので、これがなかったら結構危険な状況でした。

ここまでは何となく頭の中でイメージ出来てたんで何となくでも進めてこれたんですが、ここから先が全くの未知の領域でした。

資料を読んでみると「ファクトイド抽出」と書いてあるんですが、ファクトイドを調べてみると「事実」という意味のようで、インタビューで得た「その人を構成している要素=事実」 を抽出するようです。

そしてそのファクトイドを付箋に書きだしてグループ分け(クラスタリング)をしてペルソナを作成していくとのこと。

ここからは当初の予定通りBさんにも参加していただいて(その前も参加してもらってはいましたが)、共同で作業していくことになりました。

「初めてやることだし、時間はとんでもなくかかるだろう」ということで朝10時にBさんに伺い、資料も全て持って会議室を丸1日借りて缶詰状態。

まずインタビュー協力者のテキスト起こししたものを全員で手分けして付箋に書きだす。もうひたすら書きだす。

そして書き出したものを壁やホワイトボードに貼っていく。実は前日の時点でK君と「どうやって進めていくか」を二人でクラスター分析KJ法などの資料を読み、話し合うも答えが出ず、「やりだしたら何とかなるんちゃうか?」という答えが出て、不安いっぱいの作業だったんですが、ほんとに「やりだしたら何とかなった」のが実感でしたね。
作業に没頭しすぎて撮影するのを忘れてました。結果、作業の最初の部分しか写真がない・・・。

ペルソナに使う顔写真をネットからダウンロードして一先ずのペルソナシートに。そして事前に決めてた名前を掲げて、その名前に合う顔写真をあてこんでいきます。こういうときは女性陣すごいですね。僕とK君では出ない考え方や意見が出て、あっという間に顔と名前と年齢が決まりました。社外の人間とチームを組んでの作業がこれほど面白いとは。
で、今回作るペルソナは「実際にBから派遣しているスタッフ」さんを作るわけですから、彼女(ペルソナ)たちの「派遣先」も決めます。
これは実際にBさんが派遣している企業さんの名前と業務内容をそのまま書きこみました。この方がリアリティあるし、感情が入ります。そこからさっきの付箋を彼女たちに当て込んでいきます。
僕の中では「B物語」というドラマや小説に出るキャラクターを作り込んでいく、そんな感覚でしたね。

気をつけなければいけないのは「何の特徴もない人」を作ってしまうことや、逆に破天荒すぎてもダメということ。
その辺りを気をつけながら、ペルソナの骨組を創りだします。「なぜ、今の仕事を選んだのか?」「今までどういう人生を送ってきたのか?」というインタビューで得たファクトイドをあてこんでいきます。
不思議と一つ決めると次から次へと当て込んでいけるんですよね。そうして骨組を作っていき、最終的には6人のペルソナができました。

その6人のペルソナを今度はホワイトボードに貼りだし、肉づけを行います。アンケートの中から肉づけが出来るような部分をもう一回抽出したり、「仮説」をもとにストーリーを組んだりして、彼女(ペルソナ)の今までの経験や、生活などを作って、これからの目標などを類推したりしていきました。
実在しない人々なのに、「本当にいる人」のように感じられるのは不思議な感覚でした。ペルソナを作成していくなかで「この人と会いたいね」とか「この人すごい努力家だから何か手伝ってあげたい」とか、そんな声も聞こえてきてすごい「楽しみ」ながらの作業でした。

ちなみに終わった時間は23時半でした。予想通りに遅くなり、終わった頃にはヘトヘトでしたがノリは「文化祭の準備」のようなノリで楽しかったですよホント。
そして、作ったペルソナを発表することに。作成日には時間がなかったので、手書きのシートでしたが、これをHTMLにして、Bさんでスライド使って発表しました。概ね好評(実際にいそうだ)ということで、初めて作った割には成功じゃないかと思ってます。
ただ、男性のペルソナも欲しかったという意見もあったので、これは次回つくることがあれば作りたいですね。(本当なら実際に作ったペルソナを公開すべきなんでしょうが、個人的な情報も含まれてますし、企業の情報なんかも含まれちゃってますので、今回は公開できません。すいません。)

サイト制作はこれからなので、まだペルソナを活かしてる、というわけではありませんが、今回作ったペルソナはサイトだけでなく、自社の業務改善にも使え、新たな新サービス導入などにも使えると思います。
勝手都合のよい設定のされたキャラクターではなく、事実を基にしているのでユーザーのリアルな行動や気持ちが類推しやすく企業としては「ウチにはこんなユーザーがいる」、というのを把握しておく上で便利なツールじゃないかなと思う次第であります。
ふむ・・・。久々にやりたいけどこの作業量は現実的じゃないかも。もっと時間くれりゃいいけど・・・。

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください