突撃した結果はクロで、いたたまれない気持ちでいっぱい。謝る必要はないけど謝ってる自分もおかしいよなと思いつつも、どうしていいかわからない。
罪滅ぼしの気持ちもあって、話はとにかく聞くしかないという状況に。
確かにいつでも電話しておいでとは言ったけどね・・・!
イベントも無事終了して、ツレの家で寝ている、深夜2時、携帯が鳴った。
僕もツレも、こんな時間に誰だよ?と訝る。
携帯を見ると「Sちゃん」と表示されてる。
マジかよ。こんな時間に電話って。熱あるし無視して寝てたいとこだが、「いつでも電話しておいで」と言った手前、電話に出る。
「もしもし?Sちゃん?どうしたん?」と精一杯元気そうな声で応対する。けど、Sちゃんは無言である。「あれ?電波悪くて切れた?」で画面を見るけど、アンテナはバリ3(古いなこの表現)である。
「もしもし?もしもーし?」と何度か話しかけてみると、うっすら聞こえてくるすすり泣く女性の声。泣いてるんかい。
もはやホラーである。
「どしたん? 泣いてるん? 何があったん?言うてみ?」と尋ねてみるもただただ泣いてるだけで返答がない。
「Mとなんかあったの?泣いてちゃわかんないよー。深呼吸してさ、落ち着こうよ」となだめてみる。
こちとら38度超えてる状態の深夜2時過ぎ。泣きたいのはこっちだし、俺が落ち着きたい。
すると、何かを話そうとしてる雰囲気はあるものの「あ・・あの・・あのね・・・あ・・・」って感じで言葉にならない。
えづいてるというか、もう呼吸が荒れまくり。心境としては「犬のおまわりさん」である。困ってしまって「わんわんわわーん、わんわんわわーん」と言いたくなる。
そっから1時間くらいは経過しただろうか。友人たちは友人たちで話し合ってたから別に迷惑はかけてないけど、俺の意識というか体力がやばい。
かなりしんどい。いや、いつでも電話しておいで、とは言ったけどさ・・・まさかこんな時間に電話してくるとは。
あかん、頭が回らん・・・。
「Sちゃん、ごめん。俺、ちょっと風邪で熱あってさ、しかも今、ツレの家なんだ。今度聞くからさ・・・」と言ってみたところ、Sちゃんも泣きじゃくりながら「・・・うん」と言ってるのはわかるけど、切ってくれない。全然泣き止まない。さらにそこから1時間。彼女の泣き声を聴き続けた。よくそこまで泣けるな、と感心しつつ、時計の針は午前4時。
「Sちゃん、もう4時だからさ。今日はもう寝よ?寝ないとさ、カラダに悪いよ?明日もバイトじゃないの?また聞くからさ、もう寝たほうがいいよ」と伝え、半ば強引に電話を切った。
電話を切ったとき、ものすごい疲労感だったのを覚えている。
確かにいつでも電話しておいでとは言ったけどね2
そして翌日、当然、熱が引くわけがなく・・・。
フラフラで家に帰ってソッコーで寝る。お昼ごろに家に帰ってきて、そこから家で寝てるけど、なかなか熱がひいてくんない。
Sちゃんの話はなんだったかなーと思うも、自分もキツイので、電話はしてない。
熱ひいたらファミレス行って聞いてみるかなーと思いながら、先ずは風邪を治さないと、と思って無理やりでも寝てた。眠くないけど。
寝付けなくて深夜2時。電話が鳴った。
「え?」と思ったら相手はSちゃんやった。ちょっ待てよ。である。
いや、普通さ、体調悪いのわかってるんだからさ、さすがに間隔あけない?
と思いつつも電話に出る。「もしもし?Sちゃん・・・?」と聞くと電話の向こうでうっすら「ひっく・・・グスッ・・・」と聞こえてくる。
まだ泣いてるの???いや、ずっと泣き続けてるわけではないだろうけど、え?また?俺、また泣き声聞き続けるの???
そこから前の日と同じように、何があったの?どうしたの?と聞いてみるものの、結局、理由は聞けないまま、泣き声を聞き続けること2時間。彼女との電話が切れた。またもや午前4時である。
充電かなんかだったか忘れたけど、ちゃんと会話できなかった。
それからほどなくして、別れたという話をバイト先で聞いた。
確か、もうひとり相談相手がいたのかな?(もういないのかよ。に登場する兄貴分的な社員ね)から聞いた。
あらら~と思いながらも、あれだけMを大好きで、泣きじゃくってたSちゃんが心配だった。タイミングは悪かったとはいえ、ちゃんと話も聞いてあげられなかったし・・・。
罪悪感やら心配なこともあって、気持ちはぐちゃぐちゃだった。
俺ってそんな役回りよね・・・
ファミレスに行ってもあまりSちゃんと会わなくなってた。
理由はたまたまのタイミングでもあったんだけど、就職活動や留学(Sちゃんは結構頭いいのだ)の準備だかなんかで、いつ行っても「Sちゃんがいる」、という状況ではなかった。
そうなると、余計に気になってきちゃってね。僕の悪いクセなんですが。
Sちゃんのことを好きになっていました。いや、これでね、もしSちゃんと付き合ったら「彼氏彼女を交換したんか」って感じになってしまうので、それはマズイよなぁーとは思いつつも好きになってしまったもんは仕方ない。
それに、色々と相談にも乗ったわけだし、無理もしてきたわけですよ。
何かね、こう打算的な?「あれだけ親身になったんだからイケるんじゃないか?」みたいなのもあって(最初からそれ目的ではないけどね)。
で、ある日、バイト先に久々現れたときに(僕はSちゃんがいようがいまいが、元々、週一くらいでファミレスに行ってた)、Sちゃんのバイトが終わってから店の外でコクった。
Sちゃんも雰囲気察してたんだろう。速攻で「ごめんなさい。無理です。」ときっぱり。そして冷たい反応。というか少し迷惑そうだった。ごめんなさいは分かるけど、「無理です」は言わなくても良くね?
うっそ、マジで?と頭真っ白になったけど、とにかく笑顔で「そっかーわかったよー」とその場では笑って帰宅。
泣いたというより哭いた。
けど、まぁ「友達関係は続けられるからいいや・・・」みたいな感じで前向きに考えていたんだけど、ある日突然音信不通。メールは届いてるっぽいけど反応なし。
そして、メールも届かなくなった。マジかよ・・・。よくできるなぁ、そんなこと。
そんなことするような子には見えなかったんだけどな・・・。T子もだけど、Sちゃんも怖いなぁ・・・。
話を聞いて、元気づけたりしたんだけどなぁ・・・。
と思いながらT子が巻き起こした騒動によって俺が最後に哭きを見るというそんなお話でした。
どんなコメディだよ、ホント。
後日談
その後、T子とMは結婚したそうです。同い年だから、もうみんないいおじさん、おばさんになってるんだろうな。

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