最近、とある会合に定期的に参加しています。
ただし立場としては半ば部外者に近く、発言権や決定権があるわけではありません。
もっとも、形式としては「会合」というよりプロジェクトと呼ぶべきものです。
年齢層も背景も異なる人たちが、雑多に集まって進めているプロジェクト、と言えばイメージしやすいでしょう。
Contents
プロジェクトとは何か
ここで、今回の前提として「プロジェクト」の定義を整理しておきます。
一般的にプロジェクトとは、
・特定の目的を達成するため
・独自性があり
・明確な始まりと終わり（期限）が定められた、一時的な活動
を指します。
PMBOK®ガイドでは、
「独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施される有期性の業務」
と定義されています。
新製品開発、システム開発、イベント運営などが代表例で、日々繰り返される定常業務（ルーチンワーク）とは明確に区別されます。
プロジェクトの主な特徴
独自性（Uniqueness）
これまでとまったく同じではない、何らかの新しい成果物や価値を生み出す活動。
有期性（Temporariness）
開始と終了が明確に定義され、期限内での達成が求められる。
目的達成型
明確なゴールがあり、複数の作業（タスク）を組み合わせて遂行する。
チームによる遂行
通常は専門知識を持つメンバーで構成され、プロジェクトマネージャーが全体を管理する。
AI要約より
プロジェクトマネジメント
【PMBOKⓇガイド入門】第2回：プロジェクトとは？
プロジェクトの意味は？成功させるコツも分かりやすく解説
※今回扱っているプロジェクトは、必ずしも「専門知識を持つメンバー」で構成されているわけではありません。
この点は、一般論としての定義と異なる部分ですが、あくまで前提条件として押さえておきます。
TO DOとWBS
プロジェクトが進行すると、
・決めなければいけないこと
・やらなければいけないこと
いわゆる 「TO DO（＝すること）」 が次々と発生します。
ここで、個人的な感覚ですが、
TO DO：個人レベルの作業単位
WBS：チーム全体で共有すべき作業単位
という使い分けをしています。
WBSとは何か
WBS（Work Breakdown Structure）とは、プロジェクトで実行する「やること」「すること」を作業単位に分解して整理したものです。
たとえばWEBサイト制作であれば、内容にもよりますが、
・プレゼン・提案／準備
・デザイン
・コーディング
といった大きなフェーズがあり、さらにその中に、
・ヒアリング
・契約
・撮影
・トップページデザイン
・下層ページデザイン
・トップページコーディング
・下層ページコーディング
・動作テスト
などの作業が存在します。
これらがWBSに該当します。
あまりにも細かく（個人のTO DOレベルまで）分解しすぎると冗長になるため、
ある程度の作業規模で止めるのが実務的には妥当だと感じています。
制作以外のWBS活用例
WBSは制作や開発以外でも有効です。
過去に、会社主催の展示会をプロジェクト責任者として運営した際には、
・会場選定
・出展企業募集の案内作成・営業
・出展企業説明会の準備
・出展内容の入稿管理
・会場内区分設計
・ビンゴゲームの景品選定
・当日のフードコート業者選定
など、多岐にわたる作業をWBSとして洗い出し、管理していました。
ガントチャート
ガントチャートとは、いわゆるスケジュール表（工程表）です。
・縦軸：作業項目（WBS）
・横軸：日付（時間）
を配置し、「どの作業を、いつからいつまで行うのか」を視覚的に表します。
単なるスケジュールだけでは、
・各作業がどれくらいの期間を要するのか
・どの作業が前提条件になっているのか
が分かりません。
実際には、ガントチャートはWBSやTO DOを時間軸に載せた集合体と言えます。
WBS＋ガントチャートの作り方
よくある失敗として、
目の前の作業だけを見てしまい、全体を把握していないケースがあります。
・「まずは決められるところから決めよう」
・「分かる範囲で進めよう」
という気持ちは理解できますが、結果として視野が狭くなりがちです。
全体像を先に把握する重要性
初めて行く場所へ車で向かうとき、ナビも地図もなければ、今走っている道が正しいかどうかは分かりません。
・目的地までどれくらいかかるのか
・途中に何があるのか
・何時までにどこを通過すべきか
これらを把握するには、事前にルートを俯瞰で確認する必要があります。
プロジェクトも同じで、まず全工程（全行程）を洗い出すことが最優先です。
そうしないと、
・本来必要な作業が後回しになる
・作業の抜け漏れが発生する
・後工程が詰まり、全体が遅延する
といった問題が起こります。
工程の洗い出しは複数人で
工程の洗い出しは、一人で行うよりも、複数人でブレインストーミング的に出す方が効果的です。
順番や正確性は気にせず、思いつく作業、発生しそうな作業を雑多に出していきます。
過去に経験があるプロジェクトでも、「全く同じプロジェクトは存在しない」ため、この工程は省略すべきではありません。
まとめるのはマインドマップで
洗い出した作業要素は、マインドマップを使って整理していきます。
マインドマップとは、中心テーマから放射状に情報を展開し、思考を俯瞰的に可視化するツールです。
整理していく過程で、
・「これも必要だった」
・「これは前段階で決めるべきだった」
といった追加要素が必ず出てきます。
それ自体が、マインドマップを使う大きな価値です。
俯瞰で見ないと全体把握はできない
特にプロジェクト全体を見渡す立場の人間にとって、俯瞰視点は必須です。
全体の作業量、情報量、関係性が見えて初めて、
・現在地が分かる
・次に打つべき手が見える
・目的・目標に向かって正しく進める
ようになります。
目の前の作業に追われる前に、一度立ち止まって「全体を見渡す」。
これが、プロジェクトを前に進めるための最も基本的で、最も重要な行為だと感じています。
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